通帳とキャッシュカード、つい同じケースに入れていませんか。銀行でもらった通帳ケースにカードを差し込むところがあったりして、一緒にしておくのが自然な気もしますよね。
一緒に入れておくと磁気がだめになる、と聞いたことがある人もいると思います。先にそこから書くと、銀行の公式の案内で磁気不良の原因として挙げられているのは、スマホやパソコン、磁石の留め具などで、通帳とカードを重ねることは書かれていません(2026年10月時点で確認した範囲)。
ただ、分けて保管したほうがいい理由は、磁気とは別にあります。防犯と、もしものときの補償の話です。順番に見ていきます。
磁気がだめになるのは、何に近づけたとき?
通帳もキャッシュカードも、裏に茶色や黒の帯(磁気ストライプ)があって、ここに口座の情報が入っています。ATMで「この通帳は使えません」と出るのは、ここが読めなくなったときです。
三菱UFJ銀行は、通帳の磁気不良について「通帳の磁気ストライプを、強い磁気を発する部分に近づけると、磁気不良の原因になります」と案内していて、具体的には次のものを挙げています。
- 携帯電話(スマートフォンを含む)
- パソコン
- テレビ
- AV機器
- 磁気仕様の留め具
- 磁気仕様のアクセサリー
身近なところでは、スマホや、バッグ・財布の磁石の留め具には少し気をつけておきたいところです。通帳をスマホと一緒にポケットへ入れる、マグネットで閉じるタイプのケースに入れる、というのは避けたほうがいいということです。
通帳とキャッシュカードを重ねることは、このリストには入っていません。通帳とカードを同じケースに入れること自体より、ケースの留め具が磁石になっていないか、スマホと重ねて持ち歩いていないかを見たほうがよさそうです。
磁気がだめになったときは
もし読めなくなっても、すぐに作り直しになるとは限りません。
三菱UFJ銀行は、まず「裏面の磁気テープを拭いてみてください」と案内しています。汚れで読めないだけなら、それで使えるようになることがあります。それでも使えなければ、通帳を持って窓口へ、という流れです。
ゆうちょ銀行は、ATMの「その他お取り引き」から磁気を修復する手続きを案内しています。ただし、次のような条件があります。
- 通帳を修復するには、同じ口座記号番号のICキャッシュカードが必要
- ICチップのないカードや、古い形の通帳は修復できない
- コンビニなどにある小型ATMでは修復できない
- 70歳以上の人はATMでは取り扱えず、窓口での手続き
「とりあえずATMで直そう」と思って出かける前に、自分の通帳とカードが対象か見ておくと、無駄足にならずに済みます。
分けたほうがいいのは、防犯のため
磁気の心配が小さいなら一緒でいいかというと、そこは別の理由で分けたほうがいいです。
全国銀行協会は、「キャッシュカード、通帳、免許証などは別々に管理する」「キャッシュカードや通帳と本人確認資料は別々に保管し、キャッシュカードの暗証番号を、生年月日などの類推されやすい番号にしないようご注意ください」と案内しています。
考え方はシンプルで、全部が1か所にあると、1回盗まれただけで全部そろってしまうからです。通帳とカード、免許証が一緒に入ったケースは、持ち出されたときの被害がいちばん大きくなる形です。
通帳と印鑑を一緒に置くと、補償に関わります
ここが一番知っておいてほしいところです。
通帳が盗まれて預金を引き出された場合、銀行が補償する仕組みがあります。ただ、保管のしかたによっては補償が減ることがあります。
三菱UFJ銀行の案内では、盗難通帳の被害で本人に過失がある場合、補償額は4分の3になるとされています。そして「過失となりうる場合」として、次の3つが挙げられています。
- 通帳を他人の目につきやすい場所に放置するなど、第三者に容易に奪われる状態に置いた場合
- 届出印の印影が押印された払戻請求書、諸届を通帳とともに保管していた場合
- 印章を通帳とともに保管していた場合
三菱UFJ銀行では、印鑑を通帳と一緒に保管していた場合を「過失となりうる場合」の一つとして挙げています。実際の補償は被害状況なども含めて判断されますが、同じ場所にまとめないほうが安心です。通帳ケースに印鑑を入れるポケットがついていることもありますが、そこに入れておくのは避けたほうがいいです。
同じ案内には、親族や同居人による不正使用は補償の対象外、という条件もあります。家族と暮らしている場合も、分けて保管しておく意味はあります。
補償の条件は銀行ごとに決められているので、自分の口座の銀行の案内を一度見ておくと安心です。
実際にどう分けるか
分けるといっても、家中に散らばすと今度は自分が分からなくなります。現実的なのはこのくらいです。
- キャッシュカード:普段使うなら財布。使わないなら、通帳とは別の場所
- 通帳:書類と一緒に、決まった引き出しやファイルに
- 印鑑:通帳とは別の場所。できれば別の部屋
- 免許証・保険証など:普段は持ち歩くか、印鑑とも通帳とも別の場所
ポイントは「全部を持ち出されても困らない組み合わせ」にしないことです。ひとつ盗まれたり見つかったりしたときに、通帳・カード・本人確認書類などが一度にそろわない置き方にしておきます。
それと、置き場所は自分以外にも1人くらいは分かるようにしておくと、急な入院などのときに家族が困りません。
紙の通帳を使っていないなら
そもそも通帳を見返すことがほとんどない、という人もいると思います。その場合は、紙の通帳を発行しない口座に切り替える方法もあります。三菱UFJ銀行の「Eco通帳」や、ゆうちょ銀行の「ゆうちょダイレクト+」がそうで、明細はスマホやパソコンで見られます。
通帳がなければ、通帳と印鑑を分けて置く、という悩みもひとつ減ります。ただし紙の通帳との併用はできず、通帳のコピーを求められる場面ではひと手間かかるので、そこは切り替える前に確認してください。
まとめ
- 通帳とキャッシュカードを重ねることは、確認した銀行の公式案内では磁気不良の原因として挙げられていない。気をつけたいのはスマホと磁石の留め具
- 磁気が読めなくなったら、まず磁気の帯を拭く。ゆうちょ銀行はATMで修復できる場合がある(条件あり)
- 分けたほうがいい理由は防犯。通帳・カード・身分証は別々に
- 通帳と印鑑を一緒に置くと、盗まれたときの補償で「過失」と見られる可能性がある
一緒に入れておくと便利なのはよく分かります。でも、通帳と印鑑だけは、別の場所にしておいてください。そこだけ変えれば、あとは今の置き方のままでも大きくは困らないと思います。














